2020-06-02 第201回国会 参議院 法務委員会 第10号
東名高速あおり運転事件で直前停止行為の実行行為性が否定されたのは、被告人の直前停止行為が速度要件を満たさないからでした。しかし、妨害運転によって重大な交通の危険が生ずるのは、行為者車両が危険速度であった場合に限らず、被害者車両や第三者車両が危険速度であった場合も同じです。
東名高速あおり運転事件で直前停止行為の実行行為性が否定されたのは、被告人の直前停止行為が速度要件を満たさないからでした。しかし、妨害運転によって重大な交通の危険が生ずるのは、行為者車両が危険速度であった場合に限らず、被害者車両や第三者車両が危険速度であった場合も同じです。
まず、お答え一つ目ですが、行為自体の危険というのは実行行為性の限定が掛かってくると思いますが、行為後の事情、特に第三者車両の態様、速度といったものは被告人の行為自体の属性ではないので、これは実行行為性の問題ではなく、因果関係の判断の要素になってくると思います。そして、その上で、第三者車両が著しい不注意でぶつかった場合、今井参考人が言ったように、これは因果関係が切れるんだろう。
○参考人(松原芳博君) 補足いたしますと、外部事情でも行為時に既に存在していた事情は言わば行為の一部と見ることも可能なので、外部事情であっても行為時に存在している場合には実行行為性の要素になることもあり得ますが、外部事情であり、かつ行為後の場合には、これは実行行為の要素とはできないので、因果関係の判断要素とすべきだと考えます。
そのように、個別の実質的な観点から、実行行為性あるいは因果関係を否定するという観点で処罰範囲の限定が図り得るというふうに考えております。
ただ、例えば六号で先ほど議論になりましたけれども、高速道路で渋滞中という局面ですと、そこにおける実行行為性というのは何なのか。 結果発生の危険性が高いというのが、渋滞の場合、のろのろのろのろ行くわけですね、その時点での行為は何なのかという話も、審議会を読みますと議論になっておりまして。